今を去ること、3年前の4月末(2009年)、右目の飛蚊症の症状がいつもより強く、不快に感じた。。飛蚊症とは、視野に糸くずやゴミのようなものが見える症状だ。眼の中を満たしているゼリー状の物質である硝子体に何らかの理由で濁りができると、それが網膜に写り、糸くずやゴミが浮かんでいるように見えるのだ。
正確ではないかもしれないが、早い話が、人間を長くやっていると硝子体自体も年をとってしわができる。このしわが網膜に写ったものが飛蚊症、文字通り蚊が飛んでいるような症状なのだ。したがってこれ自体は誰でもがなりうるそうな。ネットにあった説明に、いずれも”加齢”、”初老”などの文字があり、少々ショックを受けたが、まあ、年のせいじゃしょうがないと、気にとめないでおくことにした。
それから数日後、子供をつれて、埼玉にある鉄道博物館に行ったときだ。行きはそうでもなかったが、帰りのころ、急に飛蚊症が激しくなった。安全を考え、運転を代わってもらったが、そのときもまだ、網膜はく離の恐怖が近づいていることに気が付かず、ゴールデンウイークに入っていたこともあって、普段と同じ生活を続けていた。
さて、そうしてゴールデンウイーク明け、久々の出勤。駅までの車では気にならなかったが、電車の中でじっとしていると、いつもより飛蚊症が不快だ。出社早々だが、念のため近くの眼科に行かしてもらった。
待つこと、1時間、やっと診察…。眼の中をレンズでのぞかれ、右上を見ろ、左上…、などと指示され眼をぐりくりと動かした。「年のせいですね。気にする必要はありませんよ」という診断を期待していたのだか、耳に入ってきた言葉は「網膜に穴があいていますね。」
”えー そんな”
年のせいは、そうなのだそうだが、上に書いたように、眼の中の硝子体は、若いうちはゼリー状なのだが、年をとると縮んでくる。それだけなら、まだいい。上に書いたようなしわによる飛蚊症がでるくらいだからだ。しかし、縮むとき、一部網膜と強くくっついていた部分があると、それを引っ張ってしまい、結果網膜に穴があいてしまう。壁紙に子供が貼ったシールをうまくはがさないと、壁紙まではがれてしまうようなものだ。ゆうサンの場合がこれで、飛蚊症もこの穴からの出血が眼に映ったものだったようだ。
ともあれ、こうなると自然に治ることはないらしく、どうしても手術が必要なのだ。
また、手術も症状の軽重によって簡単な、レーザーを当てるものから、硝子体を抜き取ってしまうものまでいろいろあるらしい。
レーザーを当てる方法は、あいた穴の周辺にレーザーを当て、はがれた網膜をいわば、2枚のビニールを熱でくっつけるように、焼き付けてしまおうという方法だ。手術といってもこれなら、すぐに受けられ、入院の必要もない。健康保険はもちろん、生命保険の保険金も下りる。ゆうサンも診察の日の午後にこれを受け、そのあと仕事もして、家に帰った。翌日も普通通りに出勤、仕事もした。
これで一件落着……とはいかなかった。網膜はく離は、そんなに甘くなかった。というより、ゆうサンが甘かった。レーザー手術も受けたし、飛蚊症もおさまった(出血は時間がたつと吸収されるそうだ)のをいいことに、以前と同じように、眼を意識せず生活していた。後から考えるととんでもない事だが、電動ドライバーを使って、半趣味のDIY作業なども続けていた。で、術後2週間をまたず、飛蚊症のひどいのが再発した。診断を受けると、網膜はく離が進行していた。「やはり、ちゃんとした、手術を受けたほうがいいと思うが、ここでは、手術の設備がない。ついては、住まいの近所の病院への紹介状を書く」とお医者。
それから1週間後、地元の国際医療福祉大学病院の眼科で診察を受けた。ここでも、あらためてレーザーを受けたが、「やはりちゃんとした手術を受けたほうがいいかも」といわれる。だが、まだ、決心が付かない。セカンドオピニオンをなどと、結論をのばした。そして、さらに、1週間後の診察。「手術がいいと思う!」とのこと。ただし、その先生は、非常勤で、所属の病院は、地元からだいぶ離れた独協医大病院とのこと。紹介状を書くので、決心がついたら、そちらに来てほしい、となった。
もはや、これまで、そちらの方面では優柔不断のゆうサンだが、あきらめた。さらに1週間後、指定病院に出向く。たまたま、国際医療福祉大学病院の眼科でみてもらってた先生がいて、手術を受ける旨告げた。とんとん拍子で入院、手術の日程が決まった。
ゆうサンの今度受ける手術は、強膜バックル法というもので、網膜がはがれた部分の外側にシリコンバンドを縫いつける手術だ。本来( AB)状態の眼が( A B)とはく離したのが、ゆうサンの眼の状態だとして、AをBにくっつけるかわりに、B側の膜(強膜という)にシリコンバンドを縫いつけ、( AB))の状態にし、BをAに強引にくっつけてしまおうというのだ。
で、手術は成功し、その後、約2か月ごとの定期検診に通い、はや3年。目玉をくぼませるのだから、視力が変わるかもしれないといわれたが、幸い視力は変わらない。また、眼圧があがり、緑内障という別の怖い眼病にかかる可能性が上がるとのことで、最初のうちは眼圧を下げる目薬をつけていたが、それも1年で終わり、今は正常値だ。若干眼が疲れることがあるが、これこそ加齢で仕方ないことだろう。左ひらめの右加齢だ(ちなみにゆうサンが手術したのは右目。ゆうサンは、左目も加齢だけどね。)
ともあれ、加齢はオソロシイことだ。
さて、結論。
飛蚊症そのものは、だれにでも起こりうるが、網膜はく離が原因の場合があるので、念のための眼科検診を受けよう。単なる飛蚊症ならめっけもの。はく離だったとしても早ければ、数時間ですむレーザー手術(光凝固法)でOK。
硝子体が縮み始めるのは、50歳前後だそうだ。したがって、それによって起こる網膜裂孔やはく離も50歳前後が多い。それより前は、縮み始まっていないし、それより後は、縮むのが進むが、硝子体は、完全に網膜からはなれているということだ。
50歳ぐらいになったら、飛蚊症の症状がなくても、眼科検診にも行ったほうがいい。
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